第5章 保健室のブルース
こいつは同じクラスの弦次、霧島弦次という男だ。まあ、友達だ。
「ああ・・・若干、風邪気味だ」
「それはそうとさ」
弦次は構わず続ける。ボクの風邪気味という言葉はどこに消えた?なぜ喋らせた?
「優子とルリとでカラオケ行かね?ってなってんだけど、お前も来ねえ?」
弦次が言うと、わらわらと笹本優子と、大槻ルリが寄ってくる。この二人は仲がとても良い。そして、ついでにノリもいい。
「高山くん来てくれるよね!?金曜日なんだけどさ!」
これはルリ。ショートボブで、若干薄い化粧をしている。可愛らしい女子だ。
「久しぶりにカラオケ行こってことになって・・・。高山くん来てくれると嬉しいな・・・」
これは優子。ポニーテールで一見スポーティーでありながら、実はおっとり系メガネ女子である。そして、この子、胸が大きい。
いや、だから、風邪気味だっつーの。そんなボクにカラオケやれってか。
言おうとしたが、弦次としてはボクが来ないと困るんだろう。なにせ、弦次はルリ狙いだ。ルリちゃんと遊びたいが、女2、男1では無理がある。なのでボクを誘ったーというわけだろう。迷惑なやつ・・・とは思うが、しょうがない、これも友達のよしみか・・・。
そっとため息をひとつ。
「まあいいけど・・・」
ヤッター!と手をたたき合う優子とルリ。あからさまにホッとした顔をする弦次。
あ、でも・・・。
「さんも一緒に誘っていい?」
弦次はあからさまに嫌な顔をする。優子とルリも若干困ったように目配せをする。んーっと少し唸って、弦次が言う。
「お前はいいかもしれないけどなあ。さんと同じ中学だったし、幼馴染なんだろ?でも、俺らにとっては・・・なあ・・・」
三人が顔を見合わせる。流れる微妙な空気。
「あたしらなんかと遊んでくれるかな?」
ルリが言う。
「なんか、近づきがたいっていうか・・・。」
優子もまたそう言った。この二人は2年から初めてと同じクラスになったので、なおさら近づきがたさが増しているようだ。
そう、はこの学校の誰よりも頭が良くて、飛び抜けて美人。そして、運動もほぼ万能ときている。人間、あまりにも万能すぎる人を前にすると、気後れしてしまうのだ。はなんとなく、クラスの中で浮いている。
だからこそ、だ。