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彼女はボクに発情しない

第13章 組曲:夏の夜の願い ”異榻同夢”


☆☆☆
陽太が、かっこいい。

玄関を出て、陽太を見た瞬間、直視できずに目を伏せてしまう。
何あれ?浴衣、すごい似合っている。

陽太は普段、服が超適当だ。それが今日はどうだろう。キリッとした黒っぽい質のいい生地の浴衣、帯をキュッと締め、背筋もピンと伸びている。足元の下駄も木製のちゃんとしたやつだ。そんなの持ってたの!?

いつも見慣れているはずの顔も普段の3倍は涼しげに見える。え?髪の毛もちゃんとしているの?なんか、ドキドキする・・・。

私の方はお母さんに着付けをしてもらったし、浴衣に合わせて髪の毛の方も普段しないアップでまとめてみたけど・・・どうだろう?陽太は気に入ってくれるだろうか?

「に・・・似合うかな?」
自分では後ろ姿まではよく確認できない。お母さんがやってくれたので、帯はきちんとしていると思うけど。
ああ・・・それにしても恥ずかしさと緊張で顔が火照る。きっと真っ赤になっているに違いない。あまり、そんな顔を見せたくない。少し、うつむき加減で誤魔化してみる。

「に・・・似合う・・・すごい・・・モデルみたい」

え?今なんて?なんて言った?も・・・モデルみたい?
それって、似合っているってこと?

心のなかで小さい自分が輪を描いて踊っているようだ。浮かれて跳ね上がりそうなのを必死に堪える。良かった・・・本当に、陽太と浴衣でお出かけできて、嬉しいよ。

ありがとう、風香ちゃん。

ふわふわした気持ちのまま、いつもの通学路を歩く。なんか、陽太と並んで歩くのって久しぶり。合宿のときやどうでもいいときなんかは色々話せるけど、こうしていざ並んで歩いていると何を話していいかわからない。

っていうか、顔見れない。

微妙に距離を開けてしまう。ああ・・・本当はもっともっと、近くに行きたいのに!

そんな葛藤のまま、お祭り会場にたどり着いた。
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