第11章 Anthurium
「紅孩児様……いかがでしょうか」
テーブルの上には華楠に教わりながら八百鼡が作った料理が並んでいる。
どれも美味い。特にこの揚げた肉に甘辛いタレがかかった料理は絶品だ
「この肉…美味いな」
そう言うと八百鼡の顔がパッと綻んだ
「辛いから飯が進むな!」
独角兕は白飯を豪快にかき込んでいる
「辛ーい!八百鼡ちゃん、お水ちょーだい」
味覚がお子様な李厘にはまだ早かったか?
八百鼡は急いでコップに水を注いでいる。
李厘…それくらい自分でやれ…
しかし…今まで皆で食卓を囲む事なんてあっただろうか?これまでの食事というものは各々空いてる時間に済ませる、という感じで必要最低限の栄養補給くらいにしか考えていなかった。
「皆でご飯食べるのってすっごく楽しいんだな!オイラ知らなかった!」
「李厘様…」
口内の辛味を水で流し込んだ李厘が笑いながら言うもんだから、少ししんみりしてしまった
「華楠のおかげだな!ありがと!」
「華楠さん、またお時間ある時にお料理教えて下さい!」
「い、いえ…私はそんな…!」
女3人はあっという間に打ち解けたようだ。敵…なんだがな…と思ったところでフッと笑えてきた。
多分こういうところなんだろう。
彼女が三蔵一行と何の違和感もなく旅ができている理由が少し分かった気がする。
彼女が此処に来てまだ二日だが、明らかに雰囲気が良くなっている。彼女が通った場所は風でも吹いたかのように空気が澄んでいるし、彼女と話すと暖かくて何もかも包んでくれるような…
そうだ。
まるで母上のような…
ーっ
俺は一体何を……
華楠と母上を重ねるなんてこと…
ブンブンと頭を振って今考えたことを消し去る。そんな動作に意味が無いことは分かっているのだけれど。