第11章 Anthurium
「そうだったのか!」
「そ!李厘ちゃんのお兄さんは優しくてとっても素敵だね」
「えへへ〜!オイラの自慢の兄ちゃんだ!」
李厘はドヤ顔で胸を張っている。
その兄ちゃん、ここに居るんだが…
聞いてるこちらが恥ずかしくなってくる会話が繰り広げられているのでこれ以上続かないようにコホン、と軽く咳払いをしてやる。
すると俺がいた事を思い出したのか二人は顔を赤くして苦笑いを浮かべた
「そ、それにしてもさ!カラスに襲われてる華楠を助けられない三蔵一行はマヌケだな!」
「その時私一人だったから…!」
「全く!そんなんじゃダメだぞ!オイラが後で稽古つけてやる!」
いつの間にか呼び捨てになっているし…何だ…この打ち解ける早さは
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「とりゃー!」
「くっ!はっ!!」
その後、稽古という名の手合わせをしている二人を見に行く
「華楠なかなかやるじゃん!」
「ありがとう!」
確かに並の妖怪より強い。
武術、法術を上手く使い分けながら最小限の動きで急所を攻めている。仮にも光明三蔵の弟子と言うことはある
「よォ、紅。こんな所に居たのか」
所用から戻った独角兕が声をかけてきたが、李厘と手合わせをしている相手を見て驚いた顔をした。
「お、おい、あの女!」
「女、というと怒られるぞ。華楠だ」
脳裏に八百鼡が浮かぶ
「で、その華楠がどうして此処に」
まァそういう反応になるだろうな……
俺は掻い摘んで説明すると、独角兕は「あー……あのマッドサイエンティストのせいか…」と呆れた声で言った
「……これからどうするんだ」
「わざわざ帰してやる義理はないだろう。敵だ」
「まァ…そうだよなァ」
「悪いようにはしない。だが独角…你健一には注意してやってくれ」
独角兕は一瞬こちらを見て少し驚いたような顔をしたが「はいよ」とだけ返事をした
敵側の女にここまで配慮してやるというのもおかしいだろうか。こういう所がぬるいと言われるんだろうな。
だが…あの女の…華楠の泣いた顔はもう見たくない…そう思っただけだ