第11章 Anthurium
紅孩児side
「食材に触れる時に指先から少しずつ気を流します」
「はいっ!」
「お玉や菜箸などの調理器具を介して鍋やフライパンの中のものに気を流すこともできます」
「は、はいっ!」
あれから八百鼡とあの女が調理室で特訓?をしている。む〜!とか、くぅ〜!とか八百鼡の声が聞こえるので苦戦しているのだろう
「紅孩児様!味見をして頂けませんか?」
ちら、と調理室を覗いた時に丁度八百鼡と目が合いスープを差し出された
「ふむ…うまい」
その一言に八百鼡は手を合わせて喜びの顔をする
「だが…その…気で足りない栄養を補うとか、力が漲るとかそういうのは…分からん」
と言うとがっくり肩を落とした
「まだ初めてですし…!ゆっくりやっていきましょう」
フォローのつもりだろうが、この女は自分の立場を分かっているのだろうか。
ゆっくりやっていきましょう?
帰る気がないのか?
「華楠さん〜〜〜!!」
八百鼡も八百鼡だ。
なぜこうも早くこの女に懐いているのだ
「八百鼡、敵側の女だぞ。あまり馴れ合うな」
一言釘をさすが
「紅孩児様、華楠さんです。女という名前ではありません」
逆にこちらが窘められてしまった。
「お、兄、ちゃーーん!」
いきなりぴょん!っと勢いよく背中に飛び乗ってきたのは妹の李厘。妹と言っても腹違いにはなるが、そんなこと感じさせないくらいの仲だと自負している。
「あ!八百鼡ちゃんもいる!何してんの?」
「華楠さんに料理を教えて貰っているんです」
「お前!!玄奘三蔵のとこの女だ!」
「李厘様、華楠さんです。女、という名前ではありません」
李厘も先程俺が言われたことと同じことを言われている…こんなことで兄妹感をアピールしなくても良いのだが…
「んーなんでその、華楠さんが居るんだー?」
「え、と、その…」
李厘には経緯を説明しにくい為、俺も八百鼡も言葉に詰まる
「カラスに襲われてる時にたまたま紅孩児さんが助けてくれて…その時怪我しちゃったから、ここに連れてきてくれて手当してもらったところ!」
…嘘をつく時は本当のことを少し織り交ぜながら話すと信憑性が増すという。
とっさにそれができる華楠とやらは頭の回転は早いようだ