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【最遊記】千日紅

第9章 十六夜


「ついてきてるんじゃなくて、ずっとそこにお月様はいるってこと?」

「だからいつ見てもお月様が見えるんだ!」

「お月様が僕たちを見守ってくれてるんだね」

「感覚としてはそういうことです。みんな理解が早いですね」

子どもでも分かりやすいように少し噛み砕いて説明をする八戒に、女性は感嘆の声を上げる。

「へぇ、凄い。物知りだね」

「昔、先生みたいなことしてましたので」

後頭部に手を当てて笑う八戒の服の裾を子どもたちは引っ張り、こっち来て!もっと教えて!と外へ連れ出して行く。

はいはい、と言いなが連れられていく八戒はどこか楽しそうだ

「良い旦那だね。面倒見も良くて優しくて穏やかで。あんたたち子どもは居ないのかい」

二人を夫婦だと勘違いしているのだろう女性は、華楠に問う。

華楠は描きかけのマグカップに目線をやり小さく呟いた。

「私…子どもができないので」

それを聞いた女性は華楠の向かいに座る。

「私もだよ。でもね、こうして子ども達を集めて世話したり面倒見たり…守ってあげることくらいはできる。そういうのも…良いもんだよ」

「そう…ですね…」

少し考え込んだあと、筆を持つ手は再び動きだし残りを仕上げていく。

あとは焼き上げたら完成、というところで日が暮れて来ていることに気付いた。

「っ!もうこんな時間!すみません遅くまで…!」

「こっちこそ、おたくの旦那が子どもたちの話し相手しててくれたから助かったよ。
あの歳くらいの子どもは目に入るもの全部がなんでなんでだからね。こっちも下手なこと教えられないし。
焼き上げは夜にやっといてあげるから、また明日取りにおいで」

「ありがとうございます。失礼します」

華楠と八戒が頭を下げると、子どもたちが手を振っている。

「はっかいせんせー!ありがとー!」

「また明日ねー!」

八戒も小さく手を振り返し、二人は作業場を後にした。

「八戒、今日は付き合ってくれてありがとう」

「いえ、僕も楽しかったですよ」

「ふふ、保育士さんみたいだったね」

「普段もヤンチャな人たちのお世話してますから。」

「そっか、確かに。そっちの方が厄介だ」

「でしょう。」

宿に着いたら
『遅い』『腹減った〜』
おそらく言われるであろう言葉を想像しながら二人で笑った

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