第36章 2on1
突き抜けるように青く澄み渡った空から、眩しい太陽の光が降り注ぐ。
よく晴れた日の午後、グラウンドβ。
遮るもののない広大な敷地に、ヒーロー科の生徒たちが整列していた。
今日の授業は、1年A組と3年A組による合同特別実技訓練。
彼らの前に立つのは、相澤消太。
そしてミリオ、ねじれ、ユカリ、環の4人だ。
「今日の授業は、USJでの特別実技の振り返りを兼ねた戦闘訓練だ」
相澤の低く冷徹な声が響くと、1年生たちの表情が一瞬で引き締まる。
特別実技とは。
凛がいた日の最終授業のことだ。
「3年が各自、特にアドバイスが必要だと思う人間を二名選抜。2対1の実戦形式で指導する」
その言葉に、列がざわついた。
実質、雄英が誇る最強の先輩たちとの個人訓練。
そのあまりにも豪華すぎる実戦の機会に、1年生たちの胸が高鳴る。
「じゃあ順番に発表してもらおうか」
相澤の促しに、まず一歩前に出たのはミリオだった。
「よーし!俺が選んだのは――!」
元気よく手を挙げたミリオに、全員の視線が集中する。
「緑谷くん!それから爆豪くん!」
「はい!」
「は?」
嬉しそうに返事をする出久とは対照的に、爆豪は露骨に顔をしかめた。
「なんで俺だ」
「面白そうだから!」
「帰んぞ」
「理由はちゃんとあるよ!?」
慌てて爆豪を引き留めるミリオ。
教室ならともかく、相澤の目の前で授業放棄されると文字通り命取りだ。
「二人とも強い」
ミリオは珍しく真面目なトーンに声を落とし、二人を交互に見つめた。
「でも、戦い方が真逆なんだよね。緑谷くんは考えすぎる。逆に爆豪くんは、考える前に突っ込む癖がある」
「違ぇ」
「違わない」
ミリオの即答に、周囲から張り詰めたような笑いが漏れる。
「だから今日はその中間をやろう!」
「中間……?」
首を傾げる出久に、ミリオは満面の笑みで親指を立てた。
「考えながら殴る!」
「それ、ただの戦闘では!?」
出久の鋭いツッコミがグラウンドに響いた。