第34章 恋情増幅・後日談
昨日の放課後の狂ったような熱など、まるで嘘のようだ。
いつもと変わらない爽やかな朝の光を浴びながら、ユカリはミリオ、ねじれ、環の三人とともに雄英高校の校門をくぐった。
「昨日はほんと心配したんだからね〜! 連絡もつかないし、寮にもいないし!」
「……うん。ミリオと波動さん、本気で泣きそうになってた」
「でもさ、ユカリが無事で本当によかったよね!」
口々に昨日の心配をする三人に、ユカリは内心で冷や汗を流しながらも、表向きはいつもの穏やかな顔を保っていた。
まさか保健室で、後輩二人を立て続けに押し倒して、それから組み敷かれて。
あんな破廉恥な情事に耽っていたなど、口が裂けても三人には言えるはずがなかった。
「あはは……心配かけてごめんね」
翌朝を迎えて落ち着きを取り戻したユカリは、申し訳なさそうに、けれどいつもの優しい笑みを浮かべて苦笑した。
そんな風に、いつもの賑やかなやり取りをしながら昇降口の玄関へと足を踏み入れた、その時だった。
「あの……っ、ユカリ先輩!」
不意に、少し硬くなった高い声が響いた。
振り返ると、そこには見覚えのある二年生の男子生徒が立っていた。
彼は耳の裏まで真っ赤に染め上げ、ブレザーの裾をぎゅっと握りしめながら、必死の形相でユカリを真っ直ぐに見つめている。
「す、少しだけ……お時間、よろしいですか……っ!」
相手の顔を見た瞬間、環はすべてを察してぽつりと呟いた。
「……先行っとく」
ユカリとは幼馴染だ。彼女が今までどれだけ多くの男に告白され、そのたびに困ったような、申し訳なさそうな顔をしてきたか、数え切れないほど特等席で見てきている。
だからこそ、この空気にはもう完全に慣れていた。
ユカリが「うん、ごめんね、すぐ行く」と微笑みながら返すと、それを見逃さなかった残りの二人が一気に色めき立つ。
「え!? 俺たちも見に行こうよ環!」
「そうだよ天喰くん!彼の応援してあげなきゃ!!」
通形とねじれはいつもこんな感じだ。