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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第32章 退院




教室が一瞬静まり返り――

次の瞬間、あちこちから吹き出す声が上がった。

「ぷっ……!」

「耳郎、必死すぎ!」

耳郎は「しまった」という顔で固まる。

顔はさっきよりも真っ赤だった。

「い、いや!違くて!」

慌てて手を振る。

一方のユカリは、何のことかわからないという表情で首を傾げる。

「?」

「と、とにかく気にしないでください!!」

耳郎は耐えきれず、机に突っ伏した。

「そっか」

ユカリは小さく笑う。

その笑顔がまた眩しかった。

(……何なの、この人)

耳郎は額を机に押しつけたまま、小さく息を吐く。

(めっちゃ好きなんだけど……!)

もちろん、それは恋愛感情ではない。

純粋な憧れだった。

誰にでも優しくて。

誰かの小さな行動も見逃さず。

ちゃんと一人ひとりを見ていて、その頑張りを認めてくれる。

だから、みんなが慕う。

その理由が今日だけでも痛いほどわかった。 

少し離れた場所では、その様子を見ていた女子たちがひそひそと話していた。

「……耳郎ちゃん、顔真っ赤や」

麗日が小声で笑う。

「わかりますわ」

八百万も真顔で頷いた。

「私でも、あんなふうにお礼を言われて頭を撫でられたら照れてしまいますもの」

「ユカリ先輩って、自然に人の心撃ち抜くタイプだよね!!」

芦戸が興奮気味に言う。

すると。

「それな!」

「間違いない!」

教室中が一斉に頷いた。

少し離れた席では、轟がその光景を静かに眺めていた。

(……ユカリ先輩らしい)

ふっと口元が緩む。

窓際では爆豪が頬杖をついたまま、小さく舌打ちをした。

(……チッ。だから無駄に人が集まんだよ)

そう思いながらも、その表情はどこか穏やかだった。

そして出久は、嬉しそうにその様子を見つめる。

(やっぱりユカリ先輩だなぁ……)

誰かを助けたことを誇るのではなく、助けようとしてくれた人に感謝を伝える。

そんな人だからこそ、みんなが惹かれるのだ。

三人が抱いた思いはそれぞれ違っていた。

けれど。

その場にいた誰もが同じように。

優しく笑っていたのだった。



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