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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第26章 林間合宿




相澤は現場を見回していた。

戦闘痕。

個性の痕跡。

黒霧の転移ゲートが開いた場所。

そして。

ユカリが最後まで立っていた場所。

全てを確認する。

だが、結果は変わらない。

連れ去られた。

その事実だけが残る。

「先生」

轟が口を開く。

声は驚くほど静かだった。

「追跡は」

「無理だ」

相澤が即答する。

「転移先はわからない」

轟は唇を噛んだ。

出久は俯いたまま震えていた。

目の前だった。

手を伸ばした。

あと少しだった。

それなのに。

助けられなかった。

「僕がもっと早く……」

小さく漏れる。

「もっと早く着いていれば……」

「違ぇ」

爆豪が低い声で言った。

出久が顔を上げる。

爆豪は前を向いたまま。

「間に合わなかっただけだ」

それ以上は言わない。

だが、その拳は血が滲むほど握られていた。


少し離れた場所。

ねじれと環、ミリオも到着していた。

ねじれは周囲を見回す。

何度も。

何度も。

ユカリがひょっこり現れるんじゃないかとでも思うように。

「……ユカリ?」

返事はない。

当然だ。

それでも。

もう一度。

「ユカリ?」

静かな森に声だけが消えていく。


ミリオが目を閉じる。

状況は理解していた。

理解しているからこそ苦しい。

自分たちは警護役だった。

守る側だった。

それなのに守れなかった。

大事な友達を。

守れなかった。


環は何も言わない。

ただユカリがいた場所を見ていた。

そこから一歩も動かない。

誰も声を掛けられなかった。


相澤がインカムを押す。

「全教師へ」

声はいつも通りだが、無理やり平静を保っている。

「生徒の安全確認を最優先」

「ヴィラン連合は撤退した」

「負傷者を回収しろ」

短い指示。

だが、その内容が現実を突きつける。

ヴィラン連合は目的を達成した。

だから撤退したのだ。

しばらくして。

警察への連絡。

プロヒーローへの報告。

現場保存。

全てが慌ただしく進んでいく。

だが。

その中心にいる生徒たちは動けなかった。








ユカリがいない。



それだけで。



世界の色が少し変わった気がした。





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