第25章 夏祭りボランティア
9月。
夏の終わりを惜しむように開催される、毎年恒例の夏祭り。
雄英高校の近くにある大きな神社と商店街一帯は、提灯の灯りで彩られていた。
屋台。
浴衣姿の人々。
子どもたちの笑い声。
どこか懐かしい祭囃子。
そして、その中にはボランティアとして巡回する雄英ヒーロー科の生徒たちの姿もある。
3年A組。
1年A組。
1年B組。
それぞれ配置された場所で活動中だ。
その中で――
「じゃーん!レインボー味!!」
ミリオが見せてきたのは、巨大な七色のかき氷。
もはや芸術作品である。
ユカリが吹き出す。
「何それ」
「レインボー味!」
「味の説明になってないよ」
ねじれも覗き込む。
「すごーい!色が全部違う!」
「でしょ!?」
ミリオは誇らしげだった。
一方の環は深いため息をつく。
「……ミリオ」
「ん?」
「遊びに来たんじゃない」
呆れた声。
ミリオは即答する。
「うん仕事中だよ!」
「仕事中にレインボー味食べてる」
「糖分補給!」
「楽しそう」
「楽しい!」
全く隠す気がなかった。
ねじれは笑いながら言う。
「ねえ通形、それ一口ちょうだい!」
「いいよ!」
「うわ、本当にレインボーだ!」
「だからそう言ったじゃん!」
相変わらずである。
ユカリも苦笑しながら歩く。
浴衣姿の子どもが走っていく。
親子連れ。
カップル。
友達同士。
みんな楽しそうだ。
「平和だね」
ユカリがぽつりと言う。
環も周囲を見渡した。
「……そうだな」
今日は迷子対応や見回りが主な仕事。
派手な事件が起きる方がおかしい。
こういう平和な時間を守るのもヒーローの仕事だ。