第13章 平行世界
アリスは中也の執務室でのんびり紅茶を飲んでいた。
そして、眼の前に積まれている書類の山から一番上に置いてあった紙を手に取り、目を通す。
「……まだパラサイトは続いてるみたいだね」
偶々手に取った紙に書かれていた内容は報告書だった。
傘下組織が同規模の組織に呑み込まれた旨の詳細が時系列で書き記されている。
「お嬢、茶菓子は如何です?昨日頂いた焼き菓子の用意が出来ますが」
「あ、食べたい!貰っていい?」
「用意しますね」
中也の部屋に書類を運びに来た部下が、アリスが中也の椅子に座っていることに気付いて声を掛ける。
そして、アリスの希望通りに茶菓子の準備を始めた。
アリスは書類を元の位置に戻し、紅茶の入ったカップを持ってソファ席に移動した。
そのタイミングで、焼き菓子を数個盛り付けた皿をアリスの前に差し出す部下。
「そろそろ中也帰ってくるかなー?」
「そうですね、本日は契約の再確認に向かわれただけですから、そうお時間は掛からないかと」
「そっか。じゃあ戻ってきてからあの書類の山の手伝う分を振り分けてもらお」
アリスが焼き菓子の外装袋を開け、口に運ぼうとしたその時だった。
カッ!とした眩い光が、中也の執務室を覆った。
「!?」
その光は僅か十数秒で収まる。
「お嬢!?ご無事ですか!?」
懐から銃を取り出して、アリスの安否を確認する中也の部下。
部下は、ソファの前に立っていたアリスを見て、困惑した。
「え?お嬢?……あれ、何処、此処……」
眼の前に立っているのは間違いなくアリスだった。
声も姿も同じだ。
ただ、先程の格好ーーー服装が全く違うのだ。
キョロキョロして当たりを伺うアリス。
「お兄さん、此処何処かな?」
そして、中也の部下に首を傾げながら質問する。
その問いに、何と返答しようか考えていたところでタイミングよく部屋の扉が開いた。
「ったく、彼奴が駄々こねたせいで遅くなっちまった」
「ご苦労様でした」
「中也さん!」
部下と共に帰ってきた中也がぼやきながら入室してきたのだ。その姿を見て慌てて駆け寄る部下。
「え?中也兄?」
自身の名を呼ぶアリスに気付く中也。
「…誰だ、手前」
中也は眉間に皺を寄せて、問うた。