第12章 居場所
扉に近付くにつれ、誰かの会話している声が聞こえる。
太宰と国木田が部屋に入る。
会話をしていたのは、
白衣を着て後退りしている男と少女だった。
「た、確かに車を止めたのを私は見たんだ!」
「だから?」
「銃弾も止められる人間を造れると思った!だからっ」
「あの子を殺したんだ?」
「違う!殺す気なんて!」
少女が纏っているのは明らかな殺気だ。
目の前の恐怖に、腰を抜かしても後退りする男と
「じゃあなんで◇◇は死んだの?」
口だけ笑っている悪魔みたいな少女の姿。
◇◇…。
太宰と国木田がその名に反応する。
矢張り、あの防犯カメラに映っていたのはアリスで、
◇◇と関わりがあったのだ。
「死の間際になれば……止められると思ってっ……」
「……そう。矢っ張り、私が悪かったね…」
「!?」
そう呟いた瞬間、急に男が床に這いつくばる。
次第にミシミシッと嫌な音が響く。
止めてくれ、許してくれと男が懇願する。
「あの子は同じこと云わなかったのかな?」
「!?」
ボキンッ
どこかの骨が折れる。
「おい、太宰!何が起きている!?」
「恐らく、あの男の周囲だけ空気を圧縮しているんだ」
「何ぃ!?」
慌ててアリスの方に駆け寄る国木田。
「助けッ……!」
国木田の声が聞こえたのか。男が二人を見る。
「最後に1つだけ」
それを遮るようにアリスは続ける。
「車を止めたのはあの子じゃない」
「が…ぁ!」
男が血を吐く。内蔵が潰れ始めたようだ。
「私だよ」
グシャリ。
アリスが答えを告げたのと、男が潰れたのが重なった。
果たして、男はきちんと把握できたのだろうか。
男ーーー居眠り運転をしていた運転手だった人物はこうして生涯を終えた。
何が起こっているのか把握できていない国木田と、その光景を止めもせずに見ていた太宰の方を振り返るアリス。
「だって。治兄」
「そうだったとしてもアリスのせいではないよ。抑もの事の発端はこの実験だ」
「……頭では分かっているんだけどね」
突然始まった会話に戸惑う国木田。
「あの少女と知り合いか?太宰」
「ああ。今はポートマフィアに所属している」
「マフィアだと!?」
国木田が声を上げた。