【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第16章 海×陸
諸々の対応が終わる頃には、すっかり日が傾いていた。
オレンジ色の夕日が窓ガラスを染める。
は重い足取りで高専の校舎へ戻った。
正直、もう何も考えたくない。
一日分どころか、一週間分くらいの気力を使い果たした気がする。
職員室の扉を開く。
「ただいま戻りました……」
力なくそう告げると、
「…!おかえりなさい」
最初に声を掛けたのは伏黒だった。
席から立ち上がりながらこちらを見る。
「大丈夫でしたか?」
その言葉に思わず苦笑する。
「大丈夫じゃないかも……」
本音だった。
すると。
「ぶはっ!!」
盛大な笑い声が職員室に響いた。
「は~~~、今年もすごいのが入ってきたねぇ」
椅子に座ったまま腹を抱える五条だった。
「聞いたよ?三級呪霊相手にビル倒壊させたんでしょ?」
「……」
「しかも原因が水道管破裂!」
「……」
「いやぁ、最高じゃん!」
ケラケラと楽しそうに笑う。
は無言で視線を逸らした。
今だけは本気でこの人を殴っても許される気がする。
「お疲れですね」
伏黒がぽつりと言う。
「うん……」
「ここ、汚れてますよ」
そう言いながら伏黒が手を伸ばした。
「え?」
反射的に一歩下がる。
だが遅かった。
伏黒の指先が頬へ向かう。
「だ、だめ」
思わず両手で押し返す。
「今、たぶん汗臭い……」
現場を走り回ったのだ。
自覚がある。
かなりある。
しかし伏黒は気にした様子もなく、
「別に気にしませんよ」
と言った。
そして軽く手を避ける。
「え、ちょっ――」
逃げる間もなく頬に触れられる。
ひんやりした指先。
は反射的に目をぎゅっと閉じた。
「うぅ……」
完全にされるがままだった。
数秒後。
伏黒が指先を離す。
「はい。取れましたよ」
いつも通りの声。
何事もなかったような表情。
は恐る恐る目を開いた。
「……ありがとう」
「いえ」
それだけ言って伏黒は席へ戻る。
あまりにも自然だった。
だから余計に変な気分になる。
は小さく息を吐いた。
「はぁ……」