【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第16章 海×陸
訓練場の中央。
真希は肩に担いでいた長鉈を軽々と持ち上げると、
ぶんっ――――
大きく一振りした。
風を裂く音が響く。
その圧力だけで鈴の肩がびくりと震えた。
「……っ」
真希は口元を吊り上げる。
「どこからでもかかってこい」
余裕そのものの声音。
「…………」
鈴は動けない。
というより、動き方が分からなかった。
地元にいた頃、もちろん喧嘩なんてしたことはない。
それに、相手はあの禪院真希。
さっき潮を一方的に叩き伏せた人物だ。
どう戦えばいい。
何をすればいい。
頭の中が真っ白になる。
そんな鈴を見て、真希はため息を吐いた。
「そっちが来ねぇなら」
長鉈を構える。
「こっちから行くぞ」
次の瞬間だった。
地面を蹴る音。
視界から真希が消える。
速い。
鈴が反応するよりも先に、
長鉈の腹が横薙ぎに振り抜かれた。
ドッ――!!
鈍い衝撃。
「っ!!」
横腹に衝撃が突き刺さる。
身体が宙へ浮いた。
吹き飛ばされながら地面を転がる。
土煙が舞う。
数メートル先でようやく止まった。
「かはっ……!」
肺から強制的に空気が押し出される。
呼吸がうまくできない。
横腹を押さえながら震える手で身体を起こす。
痛い。
怖い。
立ち上がらなければ。
そう思うのに足が動かない。
その背後で。
真希が再び地面を蹴った。
追撃。
容赦のない一撃。
普通なら気付けない。
振り向く時間すらない。
だが――。
見えていた。
鈴の脳裏に、真希の姿が映る。
背後から迫る足取り。
重心。
振り下ろされる軌道。
鈴は反射的に身体を横へ流した。
直後。
真希の蹴りが空を切る。
「ほぉ」
真希の目が細まった。
鈴は息を乱しながらも前へ飛び出す。
今だ。
捉えられる。
だが。
「遅ぇな」
真希が呟く。
次の瞬間。
足が払われた。
視界が反転する。
「っ!?」
体勢が崩れる。
さらに。
追い打ちのように放たれた蹴りが鈴の腕を弾き飛ばした。