【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第16章 海×陸
向かい合う伏黒と潮を囲むように、生徒たちが見守っている。
伏黒はポケットに手を入れたまま、静かに潮を見る。
「始めないんすか?」
潮が口を開く。
すると伏黒は淡々と答えた。
「お前のタイミングでいい」
その言葉に潮の口元がわずかに吊り上がる。
「へぇ」
「余裕っすね、先輩」
挑発するような物言い。
だが伏黒は表情ひとつ変えない。
興味がないのか、それとも自信があるのか。
潮は肩をすくめると、手にしたペットボトルへ視線を落とした。
キャップを捻る。
カチリ。
蓋を開けた瞬間――。
ふわりと鼻先を掠める香り。
潮の目が僅かに細まった。
海の匂い。
慣れ親しんだ潮風の気配。
ペットボトルの中で揺れる透明な液体を見つめながら、心の中で呟く。
(へぇ)
(センスいいじゃん)
視線だけをへ向ける。
離れた場所で見守るは、何も言わずに微笑んでいた。
潮はふっと鼻で笑う。
そして。
開いたペットボトルへ指先を向けた。
すぅ――――。
まるで一本の糸を引き抜くように。
水がゆっくりと宙へ持ち上がる。
透明な筋となった海水は、潮の呪力に引かれるように集まり、その形を変えていく。
柄が生まれ。
刃が伸びる。
やがて一本の短剣が姿を現した。
陽光を受けた刃が淡く輝く。
潮はそれを握ると、
ぶんっ――
軽く一振りする。
空気を裂く音が響いた。
手応えを確かめるように口元を歪める。
そして。
役目を終えたペットボトルを無造作に放り投げた。
からん、と音を立てて地面を転がる。
短剣を肩に担ぎながら、潮はゆっくりと伏黒を見据えた。
「じゃあ」
獰猛な笑みが浮かぶ。
「始めますか」
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