【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第14章 年の瀬
そのまま足を投げ出し、夜空を見上げる。
しばらく沈黙が続いた。
どこか考え込むような横顔に、私は首を傾げる。
「どうかしたんですか?」
すると五条は視線を空へ向けたまま言った。
「んー。最近さ、なんか嫌な予感がするんだよね」
その声色は軽い。
けれど、長い付き合いだ。
こういう時の五条は、案外真面目だったりする。
「というと?」
「ま、勘だけど」
あっけらかんと言う。
やっぱりいつもの五条だった。
思わず苦笑してしまう。
「なんですかそれ」
くすくすと笑う。
五条は肩をすくめて笑ったあと、ふとこちらを見た。
「だからさ」
その青い瞳が真っ直ぐ向けられる。
「今後のために、ちゃんの領域展開も
コントロールできるようにしておきたいんだよね」
私はぴたりと動きを止めた。
その話か。
私の領域展開。
それは私自身が最も扱いに困っている力だった。
膨大な呪力量に身体能力が追い付いていないから
領域展開はできるのに、自身の制御能力を失ってしまう。
まるで深い海へ沈んでいくように。
だから、どうしようもないとき以外は使わない。
そう約束している。
「最近さ」
五条は笑顔のまま言った。
「反射で領域展開したんだってね?」
五条がにこにこしている。
禪院直哉との…あのことだ。
五条の笑顔がものすごく怖い。
「ちゃん~?」
「えっと……」
「うん?」
「その……」
「うんうん」
逃げられない。
完全に逃げられない。
私は肩を縮こまらせた。
「……だまっててすみませんでした」
すると五条は一瞬だけ目を丸くする。
そのあと、くすりと笑った。
「いや、謝るところじゃないんだけど」
「?」
「問題はそこじゃなくてさ」
先ほどまでの軽い空気が少しだけ薄れる。
教師としての顔。
冬の夜風が静かに吹き抜ける。
はぁ、と五条のため息が聞こえる。
「何かあったらすぐに報告すること。」
いいね?と、子供に言い聞かせるような優しさ。
「…はい。」
「悟ぼっちゃま、お取り込み中失礼いたします」
不意に廊下の向こうから声が響いた。
障子越しに聞こえてきたのは、先ほど食事の席にもいた使用人の声だった。