【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第12章 邂逅×解放
夏油は蒼い瞳を真っ直ぐ見据えたまま、口元だけを緩める。
「久しぶりに話をしよう」
そう言うと、夏油は抱えていた片腕で支え直し、
背後で待機していた龍へ軽やかに飛び乗った。
白銀の鱗を持つ巨大な龍は、静かに喉を鳴らす。
夏油はその背を軽く撫でながら続けた。
「ここではなんだから」
夜明け前の空を見上げる。
雪雲の向こう。
薄く明るみ始めた冬の空。
「上で話そう」
まるで散歩にでも誘うような気安さでそう告げると、柔らかく微笑んだ。
五条はしばらく黙ったまま、その顔を見つめる。
数年ぶりの再会。
相変わらず人を食ったような態度。
「はぁ……」
長いため息が白く溶ける。
呆れたように空気を吐き、自ら軽々と飛び乗る。
大きな翼が広がった。
舞い上がる雪。
轟く風。
そして次の瞬間、巨大な龍は夜明け前の空へ向かって飛翔した。
しばらくの沈黙の後。
五条が静かに口を開く。
「それで?」
短い言葉だった。
夏油は小さく笑う。
「そうだね……」
白い息が風に流される。
「順を追って話そう」
そうして夏油はゆっくりと語り始めた。
10年前に起きた、あまりにも痛ましい事件のこと。
過去の真実。
生き残り。
夏油は必要以上に感情を交えず、淡々と事実だけを並べていく。
だが、その語り口は不思議なほど穏やかだった。
連れ去った理由。
長い年月を経て再会した一族。
そしてここ数日。
雪深い山の中で、束の間ではあったが穏やかな時間を過ごしたこと。
暖炉の前で交わした会話。
言葉を重ねるたびに、五条の表情から険しさが薄れていく。
もちろん納得したわけではない。
許したわけでもない。
ただ、漆黒だった空は、いつの間にか
深い群青へと色を変え始めている。
龍は静かに雲海の上を進み続ける。
夏油はふと口を閉じた。
そして遠くの空を見つめる。
まるで何かを噛み締めるように。
「……そうか」
五条が小さく呟く。
それ以上の言葉はなかった。
ただ静かな時間だけが流れていく。
やがて。
夏油はゆっくりと目を細めた。
どこか名残惜しそうに。
「悟」
五条が視線を向ける。
夏油は小さく笑った。