第7章 Lesson6 掛け違えたボタン
そう、800年の歴史を誇るグレイン家だが、その歴史の多くは闇に覆われている。生家の書庫に行けばきっとその歴史を紐解く書物がいくつもあるだろうが、今はまだ屋敷を買い戻すほどの金がない。
いつか研究者として成功した暁には、屋敷を買い戻し、そこをラボとして開放したいと密かに思っているのだが……それはまたいずれ語ることになろう。
その前にどうにかしなければならないのが、ドラコとの結婚だ。逃げるように復学したは良いが、本当に卒業したら結婚しなければならないのだろうか。ハッキリ言って実感が全く湧かない。と言うか、違和感しか湧かない。
もちろんドラコが好きじゃないわけではないが、ドラコの様に積極的にもなれない。何かこう、ボタンを掛け違っているような気がしてならないのだ。
「何だろう……?」
「何が?」
レイの小さな独り言に、アレクセイがパッと反応した。その顔には他意なんて言葉はない。あるのは人好きする笑顔だけだ。その笑顔を見た時、レイはふとセドリックの事を思い出した。
「……何でもないよ」
レイはふっと笑って、アレクセイの前髪をクシャッと撫でると、アレクセイは何故か嬉しそうに笑った
確かに笑顔はどこか似ているが、セドリックじゃない。そんなこと分かっている。分かっているのに……。レイはそっと視線を落とした。
それから後はもう、みんな勉強どころではなかったので、5人は早めに朝食を取りに大聖堂へ向かった。
大聖堂では入学式と同様、寮ごとのテーブルは無く、大きな木製の長いテーブルが2つあるだけである。食事もホグワーツよりも質素だが、味は中々悪くなかった。
噂では、ホグワーツの厨房係を務めていた屋敷僕妖精を数人連れてきたとかなんとか。
だがこの事に少しでも触れたら最後、またハーマイオニーが反吐の活動に熱を入れる恐れがあったので、レイは屋敷しもべの「や」の字すら口にしなかった。