第6章 Lesson5 芽吹き始めた才能
戦争が終わったからといって、グリフィンドールとスリザリンの間に横たわる確執が消えたわけではなかった。いや、むしろ終決した今だからこそ、今その価値観は大きく揺らいでいた。
――純血主義。今やこの言葉は唯の主義主張ではなく、身の振り方ひとつで断罪されるほど大きな意味合いを持っているのだった。
レイはドラコを睨むと、力ずくで手を振りほどいた。
「大丈夫か、ネビル?」
「う、うん……ごめん。騒ぎにしちゃって」
「あなたが謝る必要はないでしょう。悪いのはあちらだもの」
ハーマイオニーがそう返すと、ネビルは困ったように頬をかいた。その仕草を見て、レイは思わず小さく息をついた。
レイはネビルが仲間を率いて勇敢に戦ったことを知っている。それでも、目の前の彼には、どこか昔の面影が残っていた。
だがその印象が、いずれ大きく覆されることになるとは、このときのレイはまだ知らなかった。
* * *
放課後、レイとハーマイオニーは図書館で課題に取り組んでいた。今日中に片づけておきたい課題は、まだいくつも残っている。明日になれば、また新しい課題が増えるのだから、先延ばしにする余裕などなかった。
図書館には、羊皮紙をめくる音や羽根ペンの走る音が静かに響いている。窓から差し込む午後の光が、机の上に広げられた参考書の背表紙を照らしていた。
レイは何度も教科書とノートを見比べ、ようやく解答の糸口が見つかったところで、隣からハーマイオニーが羊皮紙を差し出してきた。
「この問題なんだけれど、貴女はどう考えた?」
「ああ、これか。これは――」
二人は小声で意見を交わし、解答を照らし合した。隣のテーブルでは、ジニーとルーナが同じようにレポートを書きながら額を突き合わせてブツブツ呟いている。
そんな中、ハーマイオニーがふと顔を上げた。
「そういえば、ネビルを見かけないわね」
「ネビル?」
「ええ。この一週間、気がつくとどこかに消えているのよ」
言われてみれば、確かに授業が終わってからネビルの姿を見ていない。レイはその場で腕を組んだが、心当たりは浮かんでこなかった。