第5章 Lesson4 憎めないヤツ
――ダームストラングからの転校生。その肩書きだけを聞いた時には、もっと近寄りがたい人物を想像していた。だがこうして話してみると、どこからどう見ても普通の少年だ。
家の話をして、故郷の話をして、好きな授業の話をする。そんな当たり前の学生らしさが、逆にドラコからしてみれば眩しいくらいだったのだろう。ドラコは一瞬目を伏せた。
「君の家は、随分と昔ながらの暮らしをしているんだな」
「そうだね……あっ、そういえば!」
アレクセイがふと思い出したように言った。
「レイもスコットランド出身だったよね?実は僕もスコットランド出身なんだ!」
「本当か!?」
思わずレイの声が弾んだ。自分でも驚くほどだった。
この仮校舎もスコットランドに建てられているから、とりたててはしゃぐ様な話ではなかったが、それでも出身地が同じと言うのは嬉しいものだった。
「どの辺りなんだ? 私は北の方にあるハイランド地方の――」
「僕はもっと田舎だよ。西側のサザーランドのアシント地方にある、本当に小さな村なんだ」
「アシント……」
その地名を聞いた瞬間、レイの脳裏にスコットランドの荒涼とした大地が浮かんだ。
山。湖。広い空――そして、人の気配がほとんどない静かな土地。
「スコットランドの田舎はいい。星が綺麗だからな」
「うん。僕の家からもよく見えるよ」
「そうだろうな。ロンドンとは大違いだ」
「ロンドン?」
アレクセイが首を傾げる。レイが以前スコットランドの北部で暮らしていたことは知っていても、最近ロンドンに居を移したことまでは知らなかったらしい。
まあ、冷静に考えれば、そんな最新情報を知っている方がおかしい。
「そうなんだ。今は理由があってロンドンで暮らしているが――」
「おかしいな、僕の聞き間違いかな?」
低い声が割り込んできた。うんざりしたレイが振り向と、そこにはいかにも不満そうな顔をしたドラコがいた。