第5章 Lesson4 憎めないヤツ
「レイ、あまり期待させないでよ」
「事実だろう?」
「それはそうだけど……」
謙遜しても決して否定はしない、それが彼女の強みでもありアイデンティティーでもあるからだ。そんな二人のやり取りを見ていたアレクセイが、ふと首を傾げた。
「そういえば、レイはどんな授業を選択したの?まさか2人と同じじゃあ……」
「そんなわけあるか、私のはごく普通だ」
アレクセイがレイの時間割を覗き込むと、それにつられるようにジニーとハーマイオニーもテーブルから身を乗り出した。そして当然と言えば当然の如く、ドラコも首をつっこんできた。
「そういえば、レイの時間割は見てなかったわね」
「私も気になる」
「待て、僕が先だ!」
何がそんなに気になるのか。レイは呆れながらも、皆が見やすいように時間割表をテーブルの上へ広げた。そこに並んでいた時間割を見て一同が黙った。
何度見てもAクラスが5つ。Bクラスが1つ。そしてCクラスが1つ。ハーマイオニーやドラコの時間割を見た直後だからこそ、余計にその偏りが目立つ。
けれど、レイ本人としては特に問題があるとは思っていない。得意なものは得意。苦手なものは苦手。それだけの話だ。
「本当に得意科目と不得意科目の差が激しいんだ……」
誰かがボソッと呟いた。だが、そこで「あること」に気づいたのはハーマイオニーだった。流石は長年連れ添っただけある。何とも言えないレイの微妙な時間割から、1つだけ引っかかるものを見つけた。
「あら?どうして天文学がBクラスなの?」
ハーマイオニーがレイを見る。レイは「あぁ」と短く返事をした。
天文学と言えば、レイの得意科目かつ好きな科目である。それなのに何故クラスを1つ下げたのか。 理由はごくシンプルなものだった。
「折角星を眺められる貴重な授業なのに、知識ばかり求められたら興が削がれるだろう?」
「……また始まったわ」
「いつになったら、君のその悪癖は治るんだい?」