第4章 Lesson3 熱を上げているのは?
「何だその視線は。別にバッジくらい一人でも取りに行ける」
――と、言って、ドラコはスラグホーン先生率いるスリザリン寮生達が集まる輪の中へずんずんと進んで行った。その後姿をハーマイオニーと一緒に母親の様な視線で見送る。
そしてやはりスラグホーン先生からバッジを貰った矢先のことだった。人ごみに押されて、ドラコは見事にその場で尻もちをついた。
うん、やはりドラコはドラコだ。妙な安心を覚えたレイが駆け寄るよりも先に、ドラコに向かって差し出された大きな手があった。
「君、大丈夫かい?」
「あ、あぁ……すまない」
仏頂面のドラコとは正反対に、手を差し出してくれた青年は爽やかな二枚目だった。その雰囲気はどこかセドリックを彷彿とさせ、レイは一瞬だけ息が止まった。
青年が手を引くと、その身長はドラコよりも頭一つ分大きかった。明るい茶色の髪に、少したれ目がちで純真な黒い瞳。優しく人好きしそうな雰囲気は、まるで大型犬のゴールデンレトリバーのようだった。
名も知らぬ青年は、ドラコを見るとキラキラと目を輝かせた。
「君……もしかしてドラコ・マルフォイ!?」
「そうだが……どこかで会ったことが?」
「無いけど知ってるに決まってるさ!だってヴォルデモート戦争の英雄だろう!?」
青年は掴んだ手を放そうとせず、そのまま上下にブンブンと大きく振った。それから少し離れた場所で呆気にとられ立ちつくしていたレイの姿を見つけると、やはり大興奮で駆け寄ってきた。
その姿はまるで飼い主を見つけた犬が、嬉しそうに尻尾をぶんぶん振りながら迫ってくるような感じだった。
「すごい!本物の救済の天使だ!まさか復学してたなんて!!」
「ちょ、ちょっと待った。さっきからなんなんだお前!?」
「そうだ!僕のレイに勝手に近寄るな!!」
大興奮の青年からレイを守る様に、ドラコが立ちはだかった。すると青年は自分の行動を振り返り、恥ずかしそうに頭をかいた。
「ごめん、別に怒らせるつもりはなかったんだ。僕の名前はアレクセイ・ヴァレンタイン。ダームストラングからの転校生で、君たちの大ファンなんだ!」
「ダームストラング?それじゃあもしかしてクラムとは知り合いかしら?」