第3章 Lesson2 新たなる学び舎
興味深いのか、ドラコはきょろきょろと辺りを見回した。
ホグワーツほどではないが、流石は900年近く前に建てられた大聖堂だ。建物に掛けられた魔法や結界はそんじゃそこらの教会とは一線を画しているのだろう。
それにしても500年前に宗教革命によって壊されても尚、その“存在を示す”だけの“力”があるとは……いやはや、ここがホグワーツの仮校舎に選ばれたのも当然かもしれない。
「――ようこそ、ホグワーツの皆さん。聖・アンドルーズ大聖堂へ」
ふと、耳にふわりと声がささやきかけた。咄嗟に振り替えると、そこに居たのは神父と思わしき人物だった。純白のローブを目深にかぶり、さらにローブと同じ純白の布で細くて長い目隠しをしている。
それよりも何より驚いたのは、その存在感の有無だ。まるで最初からいたかのように振舞っているが、声を掛けられるまでその存在に一切気づけなかった。
驚くレイ達を前に、神父はさざ波の様な涼やかな声で語りかけてきた。
「さあ、皆さん。どうぞ廊下を真っすぐ進んで下さい。先生方がお待ちですよ」
どこか懐かしいような、優しい声。しかし驚くべき点はそこではない。布で見えていないはずなのに。確かに“視線が合う”。試しにサッとドラコの影に隠れて見たら、神父は不思議そうにわずかに小首をかしげた。この神父、唯者ではない……。
「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私は聖アンドリュー12世。形式上はこの教会の神父ですが、肩ひじ張らず、ただの管理人とでも思って下さい」
そう言うと、聖アンドリュー12世は穏やかに微笑んだ。その声音には警戒心を抱かせるものが何一つ無かった。むしろ、どこか懐かしい。まるでずっと昔から知っている人に迎えられた時のような、そんな安心感があった。
レイが記憶を手探りしていると、1つの答えにたどり着いた。あぁ……そうか、どこか懐かしい感じがすると思ったら、雰囲気が少しダンブルドアに似ているんだ。
あの落ち着いたたたずまいは、人を安心させる魔法がかかっている様な気がする。今目の前にいる聖アンドリュー12世にも、レイは同じような安心感を覚えた。