【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第8章 6
夜風が吹き抜け、湖面に波紋を広げる。
爆豪は、逃がさないと言わんばかりに彼女の身体を力任せに抱き寄せた。傷口が痛むが、離すつもりは微塵もない。
「……セフレだの利害だの、そんなクソみてえな言い訳、二度とさせねえ。……俺から離れるなんて、一億年早ぇんだよ」
爆豪の胸の中で、透の身体が小さく震える。
彼女の諦めが、爆豪の乱暴で真っ直ぐな言葉によって、ゆっくりと瓦解していく。
「……ほんとに、いいの……? 私、かわいくないよ……?」
「あぁ、知ってるわ。口も悪いしマイペースで腹立つ女だ。……でも、俺が隣にいろっつってんだ。文句あんのか」
透は爆豪の病院着をぎゅっと掴み、彼の胸に顔を埋めた。
少し離れて、二人の目が合う。
赤く滲んだ目。初めて見る、爆豪の泣きそうな顔。
至近距離で二人の視線が絡み合い、どちらからともなく唇が重なった。いつもの貪るようなキスじゃない。震えて、確かめ合うような、不格好で温かい口づけだった。
優しく温かいキスを何度も柔く繰り返す。
息継ぎの合間、額をくっつけ、はにかみながら透が尋ねる。
「つ、きあうってこと…?」
爆豪がぷいっと顔を背けた。でも耳まで真っ赤。
「当たりめぇだろ。」
一瞬の沈黙。小さく透が吹き出すと爆豪がガッと振り向いてまた目が合う。
二人で笑って、もう一度キスを交わした。今度は少しだけ長く。
離れた時、二人の間にはもう何も隠すものがなかった。