第2章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる II**
がゆっくりと目を開けた。
「、おっはよ〜! お寝坊さんっ」
先生の明るい声が部屋に響く。
はまだ状況が飲み込めていないのか。
ぽやんとした顔で、俺と五条先生を交互に見つめていた。
焦点の合っていない目が、ぱちぱちと瞬きをしている。
「…………」
「?」「……?」
俺と五条先生がほとんど同時に声をかけたが、は無言で布団を引き寄せ、ばさっと頭から被った。
こんもりと盛り上がった布団が、ぴくりとも動かなくなる。
「ー?」
五条先生が呼びかけると、布団の中から蚊の鳴くような声が聞こえた。
「……わ、私は、まだ寝ています……」
「だから、寝てるやつは返事しないから」
五条先生がすかさず突っ込むと、布団の中がびくっと揺れる。
明らかに様子がおかしい。
それに、俺だけではなく五条先生も同じように避けられている。
五条先生はケラケラ笑いながら、布団の端を指でつついた。
「ほら、朝ごはん行くよー」
「……」
「旅館の朝ごはんだよ? 焼き魚あるよ? 納豆もあるよ?」
「……」
「お味噌汁」
「……」
「炊き立ての白いごはん」
「……」
「の好きそうな、ちっちゃい小鉢いっぱい」
「……」
五条先生がこんなに話しかけているのに、一切の返事が返ってこない。
今までこんなことなかったのに。
俺も少しだけ考えてから、口を開いた。
「……だし巻きもあるんじゃないか。、好きだろ」
「……」
期待してみたが、俺にも返事はない。
けれど、次の瞬間。
ぐうううぅぅ……。
布団から、やけにはっきりとした音が響いた。