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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **


「……?」



思わず口から名前がこぼれると、もう一度、二つの輪が重なって動く。


いる。
が、ここにいる!



「! そこにいるのか!?」



俺は白いシーツへ駆け寄った。
手を伸ばすが、見えない壁に阻まれる。



「玉犬! やれ!」



俺の声に反応し、二匹の玉犬が勢いよく飛びかかった。
鋭い爪が、目の前の結界を切り裂こうとする。



――ガッ!



だが、弾かれた。
玉犬は着地すると、牙を剥いて低く唸った。


傷ひとつついていない。
外からの侵入を徹底的に拒む結界。

綻びを見つけたところで、そう簡単には破れないらしい。


どうする。
どうすれば、を助け出せる?


ふと、五条先生の言葉が頭をよぎった。



『声を出したら、他の誰かを殺すとでも言われてたんじゃない?』

『自分じゃなくて、大切な誰かを失うのが怖かった。それなら、が声を封じていた理由もわかる』



が俺の名前を呼んだら、姑獲鳥はどうする?

間違いなく、俺を殺そうとするはずだ。
俺を狙って外へ出ようとすれば、その瞬間、結界に隙ができるかもしれない。


……賭けだけどな。



「……」



俺はそこに映る小さな手の影に、自分の手を重ねた。



「俺の名前を呼べ。大丈夫だから」



映っていた影が、ぴたりと止まる。


怖いよな。
お前が何を恐れてるのか、今なら少しは分かる。

でも、もう一人で背負うなよ。



「十年間、お前が俺を守ってくれたんだろ!? だったら今度は、俺を信じろ!!」











「呼べ、!! 俺の名前を――!!」











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