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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**


2メートル近い朔を連れて入って大丈夫かな、と心配していたのが馬鹿みたいだった。

玄関だけでもめちゃくちゃ広い。
先生のマンションは、想像していたよりずっと広くて、綺麗だった。



「とりあえず、そのまま浴室直行ね」

「は、はい……っ。床、汚しちゃうかも」

「そんなこと気にしなくていいよ。それより早くシャワー浴びておいで」



先生は慣れた様子で、奥からバスタオルと着替えを持ってきた。



「僕のTシャツだけど、とりあえずこれ着て。制服は洗っとくから、脱いだら外置いといて」

「そんなこと、先生にさせられません……!」

「いいからいいから。ほら、早く」



背中を押され、半ば追い立てられるように浴室へ入った。
朔もとことこと私の後をついてきて、一緒に脱衣所へ入る。


ドアが閉まって、朔と二人きり。

改めて脱衣所を見回すと、大きな鏡のついた洗面台がすぐ目に入った。
内装は白とグレーで揃えられていて、まるで高級ホテルみたい。


先生は普段、高専にいることが多いからなのか。
綺麗すぎて、あまり生活感がない。

それでも、洗面台に置かれた歯ブラシも。
棚に並んだボトルも。

全部、先生のものなんだ。


そう思った途端、自分が今どこにいるのか、じわじわと実感が湧いてきた。


私、先生のマンションにいる!!
本当に来ちゃった。

わー、どうしよう!!
どこも先生の匂いがする!


キョロキョロと落ち着かない私を、朔が不思議そうに見ている。



「……ごめんごめん」



制服のボタンに手をかけ、ひとつずつボタンを外していく。
濡れたシャツを脱いで、鏡の前に立った。



「…………ぁ」



鎖骨の下から、胸の谷間あたりへ。
この前、伏黒くんにつけられた赤い跡が、まだいくつも残っている。



『早く……俺のこと好きになれよ』



あんなふうにまっすぐ私だけを求められたこと。
何度も思い出してしまう。

伏黒くんを選んだら。
そんなことまで、考えるようになってしまった。


でも、鏡の中に残ったそれを見つめているうちに、先生との約束が頭をよぎる。


もし、先生にこれを見られたら。
どう思うんだろう。

怒る?
呆れる?


それとも――。
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