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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**


途方に暮れていると、先生がスマホを取り出した。
画面を何度か操作してから、何かを考えるように顎に手を当てている。



「んー……ここから高専戻るより、僕んちの方が近いな」

「……え?」

「僕のマンション。この辺からならそんな遠くないよ」

「先生の……マンション?」

「そ。シャワーくらい貸してあげる」



先生は何でもないことみたいに言うけど。


先生のマンション。
先生の部屋。

二人きり。

頭の中に並べた途端、心臓の音がやけに大きく聞こえた。



「……どうする?」



どうするって。

シャワーは浴びたい。
ものすごく浴びたい。

このままじゃ帰れないし。


それに、先生の部屋行ってみたい。

先生が普段どんなところで暮らしてるのか。
どんな部屋で、どんなふうに過ごしてるのか。

ちょっとだけ……ううん、気になりすぎる。


それから。
もしかしたら。

先生の部屋で二人きりになったら、また――。



「〜〜〜〜っ!」



何期待してるの、私。
伏黒くんの部屋で、あんなことしたばっかりなのに。

まだ伏黒くんにつけられた跡が残っている。
それなのに、先生の部屋に行きたいって思ってるなんて。


服の上からじゃ見えるはずもないのに、思わず胸元を隠すように押さえた。





「?」

「ひゃっ」

「何その反応」

「な、なんでもないです!」



先生が怪訝そうに私を覗き込む。


やめて。
今はあんまり見ないでほしい。

ただでさえ臭くて、汚れてるのに。
こんなこと考えてるのまでバレたら、もう本当に最悪だ。



「……い、行きますっ!」

「じゃ、決まりね」



そう言って、先生は足取り軽く歩き出した。
私はすぐに後を追えず、その場でもじもじしてしまう。

行くって決めたのに。
いざ先生のマンションへ向かうとなると、やっぱり緊張する。



『きゅぅきゅぅ』

「あ、待って、朔」



私が一人であれこれ考えてる間に、朔はさっさと先生の後をついていく。

……ちょっと。私より先に行かないでよぉ。
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