第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**
「は、ぁっ……あ……っ」
波のような快感がゆっくりと引いていくと、全身からふにゃっと力が抜け落ちた。
背中を預けるように、五条さんにもたれかかる。
(イっちゃった……)
ぼんやりと霞む頭で、さっきまでの途方もない感覚を反芻する。
これが、イくってやつかぁ……。
先輩たちの話で聞いてはいたけど。
すごかった。
き、きもちよかった。
そんなことを考えていると、上からふわりと影が落ちてきた。
五条さんが私を背後から抱きすくめたまま、横から顔を覗き込むようにして、ちゅっと唇を重ねる。
「んっ……」
キスの隙間から、五条さんの甘くて濃い精気が私の口内へと流れ込んでくる。
(あ……)
昨日のように暴力的なくらい一気に注ぎ込まれるのではなく、今日はどうやら加減してくれているらしい。
じわじわと、とろけるような精気が身体の隅々まで行き渡っていく。
唇が離れても、五条さんはすぐには私を離さず、そのまま抱きしめていてくれた。
……あれ。
今の五条さん、すごく優しい。
からかったり、あっさりかわしたりしない。
ちゃんと私のことを抱きしめて、精気まで分けてくれている。
それに、さっき私、ちゃんとお仕事したよね?
五条さんを興奮させられた、よね?
ということは。
これって……もしかして。
最高にいい雰囲気なのでは!?
私は少しだけ身をよじって五条さんを見上げると、自分なりに精いっぱい甘い声を出した。
「……五条さん」
「ん?」
「あの……私と、えっちしてくれますか……?」
勇気を振り絞った、直球の提案。
すると、五条さんは一瞬だけ黙ったが、すぐに信じられないくらい爽やかな顔でニコリと笑って――。
「だーめ」
私の肩から、音が鳴りそうなくらい派手に力が抜ける。
してくれないの!?
あんなに、あんなにえっちなことしたのに!?
またお預けなの!?!?
「な、なんでですかぁーっ!?」
尻尾も、抗議するようにバシバシとシーツを叩く。