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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


『……は?』

『僕からプレゼント♡』

『いや、いりません。ていうか、何渡してんすか』



突き返そうとしたが、五条先生は楽しそうにそれを俺の手に押し戻してくる。



『えー? デートのあと、何があるか分かんないじゃん』

『ないです。ただ寿司食いに行くだけです』

『またまたぁ。本当はちょっと期待してるんでしょ?』

『だから、いりませんって。……つーか、場所考えてください』



真っ昼間から堂々とそんなものを握らされて、本気で捨ててやろうかと思った。

でも、結局捨てられなかった。


別に、期待していたわけじゃない。
ただ、万が一とか。
そういうくだらない言い訳を、頭のどこかでしていた気がする。

気づけばそれをカバンの奥に突っ込んでいて。
家に帰ってからも捨てられないまま、キャビネットの奥に押し込んでいた。


(……まさか、本当にと使う日が来るなんて)


今日ばかりは、あのふざけた教師に感謝するしかない。


俺の下で、まだ力の抜けたままのが目に入る。


(……も、初めてなんだよな)


俺だって経験はない。
以外と、こんなことをしたいと思ったこともなかった。

緊張しているのか、指先が情けないくらい震えている。
早くを抱きたいのに。



「……っ、クソ、」



指に変な力が入って袋が滑り、さっきから全然破れない。
の前でこんな手こずっている格好悪いところ、絶対に見せたくないのに。


すると、俺の手を小さな手がそっと包み込んだ。

見れば、ベッドに横たわっていたはずのが上体を起こしている。
は俺の手から銀色の袋をそっと抜き取ると、代わりに封を切った。


よく見れば、その指は俺と同じように微かに震えている。
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