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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第3章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ**


「……なんで……」




どうして、ここに。


鍵は――。


そうだ。
シャワーから戻ってきた時、俺はドアを閉めただけ。
鍵をかけた記憶がない。

最悪だ。
こんな姿を見られた。
よりによって、に。


言い訳なんかできる状況じゃない。
けれど、何も言わないわけにもいかない。



「……っ、これは」



なんて説明すんだよ。
いや、そもそも説明なんてできるわけがない。


慌てて身なりを整えながらベッドを降りると、が一歩後ずさった。

また、逃げられる。


そう思ったら、考えるより先に手が伸びていた。



「待てって」



細い手首を掴むと、の身体がびくりと震えた。
駅前で見た時と同じ。
俺を避けるみたいに、の視線が激しく揺れている。

こんな俺を見て、気持ち悪いと思ってるんじゃないか。
引いてるんじゃないか。

最悪の想像ばかりが頭をよぎる。



「話、聞け」



そうは言ったが、何から説明する?
今してたことからか?
のこと考えてしてたって?
そうじゃねえだろ。


それに、に聞きたいこともたくさんある。

なんで、ここにいる?
どうして今日逃げた?
あいつに何言われた?
俺のこと、嫌いになったのか?

頭がぐちゃぐちゃすぎて、何から言えばいいか全然わかんねえ。


は手を振り解こうとしたり、俺の胸を押して離れようとする。
拒絶されたように思えて、つい強く名前を呼んでしまった。



「っ!」



の肩が小さく跳ねる。

その顔がひどく苦しそうで。
何かを堪えているみたいで。

何をそんなに怖がっているのか。
何を聞きたくないのか。
俺には分からない。


分からないまま、とりあえず何か言わなきゃと思って、口を開いた。



「俺は――」



その先を言う前に、が俺のシャツをぎゅっと掴んだ。
そのまま、さらに強く引かれる。

反動で、身体がわずかに前へ傾いた。


の顔が近づいたと思った時には、柔らかいものが俺の唇に触れていた。
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