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かるら怪談

第37章 ゴーストアプリ


T子が言うには、N神社から少し登ったところにある風穴は、昔、このあたりで土葬が行われていたとき、死者を埋葬するのに使われていたとのことだった。昔から死者が集うところとされてきたという曰く付きの場所なのだそうだ。

「お父さん、山で遭難して、亡くなってしまったけど、魂だけが家の近くに戻ってきて、風穴にいるんじゃないかって、それを教えようとしているんじゃないかって思うの」
だから、ろうそくを供えに行きたいが、一人では怖いのでL子に一緒に行ってほしいというのだ。

正直、L子は気が進まなかったが、T子があまりにも熱心だったので、つい承諾してしまった。結果的に、その週の金曜日の夜、一緒にN神社の風穴に行く羽目になったのだ。

昼に行くんじゃだめなの?と問うと、実は、すでに昼間には行ったらしい。昼に行って、ろうそくを供えてきたというのだ。それでも、メッセージがやまなかったので、いよいよ夜に行くしかない、そう思ったらしい。

そして、金曜日、初夏とはいえ、まだ肌寒い中、18時過ぎに待ち合わせをして、二人してN神社を目指す。

N神社は宮司がいない小さなお社で、参拝する人もほとんどいない。当然そこに通じる道もろくに整備されていなかった。麓から歩くと30分以上もかかるのだ。なので、待ち合わせた頃はまだ陽がそこそこ高かったが、神社につく頃にはすっかり日が暮れて暗くなっていた。

T子の言うところの風穴は、神社の本殿の横を抜け、獣道を辿って更に15分ほど登ったところにあるという。

最初こそおしゃべりしながら歩いていたが、次第に疲労感から二人とも無口になっていた。あたりは暗く、ただ、二人が持っている懐中電灯の光の輪だけが道を照らしていた。
まだ初夏だからだろうか、虫の声も聞こえない。遠くで、フクロウの声が聞こえているだけだった。

そこで、唐突に視界がひらけた。

その場所は台地になっており、奥の岩壁に縦横5m近い洞がポッカリと口を開けていた。洞の奥はよく見えないが入口からちょっと先ですぐに下り始めているようだった。
誰もいない夜の山だ。くろぐろとした洞の入口はとてつもなく不気味だった。

「ごめん、もうちょっとだから・・・」

T子はリュックから大ぶりのろうそくとライターを取り出した。
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