第37章 ゴーストアプリ
【ゴーストアプリ】
これは、数年前、高校生のL子から聞いた話。
L子はS県の田舎町に住んでいた。L子は比較的頭がよく、第一志望の県立の高校に入学した。田舎の公立は校則が厳しく、高校生にもなるというのにスマホ・携帯の類の持ち込みは禁止されていた。
しかし、女子高生にとってもはやスマホは生活必需品。友人同士のコミュニケーションには欠かせないものだった。
そんなわけで、結局、皆、かばんにスマホを忍ばせて登校し、先生の目を盗んではSNSのIDを交換しあったりしていた。
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L子が入学した当初、学校で、妙なアプリが流行った。
『ゴーストアプリ』
スマホの電波受信機能やGPS、高度計などのセンサーを使って周囲の『霊気』を探り、近くにいる幽霊とチャットをすることができる、という、非常に眉唾もののアプリだったが、占いやオカルトが好きな女子高校生の間ではまたたく間に流行った。
そのアプリは一見チャットアプリのような体裁で、こちらが、何か文章を打って送信すると、『周囲に霊がいれば』返事が来る、というものだった。
大半の場合は返事は来ないので、多くの人は飽きてすぐにアンインストールしてしまうのだが、L子の友人だったT子は『返事が来た』と言い、皆がやらなくなってからも熱心に続けていた。
T子は真面目でいい子だが、口数が少なく、クラスでもやや浮いている存在だった。クラスの中ではL子が一番T子と親しかったので、その分、T子が異常なほどアプリにのめり込んでいく様子がよくわかった。
最初は真面目に校則を守り学校にスマホを持ち込むことがなかったT子だったが、すぐに教室でも頻繁にスマホを見るようになっていった。何度か先生に見つかってスマホを没収されていたが、それは普段のT子を知る者からするととても違和感があることだった。