第36章 死神
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最初に『それ』らしきものを見たのは、D子が5歳頃だったそうだ。
D子の住んでいた東京都N区の町内に、ネコ好きのおばさんがいた。家に5匹のネコを飼っていた。そのおばさんはネコのほかは同居人がおらず、今から振り返ってみると、未亡人だったのかなと思えた。
猫好きと見えて、町に住んでいる野良ネコの面倒もよく見ていた。ネコと見ると近寄って、撫でている姿をよく目にしたことを覚えている。そして、ネコだけではなく、子供も好きだったみたいで、小さいD子が通りかかると優しく声をかけてくれていた。
D子はD子で、おばあちゃん子だったこともあり、年上の女性と話すことには全く抵抗がない。自然と、互いによく話をする仲になっていた。
ある日、D子がいつものようにおばさんの家の前を通りかかると、おばさんは家の前の掃き掃除をしていた。いつものように、D子ににこやかに声をかけてくれる。D子も挨拶をして返した。
その時、ふと気がつくと、おばさんの後、これからD子が向かおうとしている道の先に、真黒いネコがいるのが見えた。そのネコは道の真ん中でじっとして、おばさんをじっと見ているようだった。
変な話だが、その時のD子には『あのネコはおばさんを見ている』ということが分かったのだという。