第27章 開幕のコン・フォルツァ【人外魔境新宿決戦】
――「勘違いしてるみたいだから言っとくけど、そっちが挑戦者だから」
五条のその言葉に、『挑戦者?』と呟いて宿儺が口角を歪めて嗤った。
『不意打ち当てたことが余程 嬉しいようだな』
【茈】で消し飛んだ腕の先を治癒しながら、宿儺は余裕の態度を崩さない。
『五条 悟、貴様は俎板(まないた)の上の魚(うお)だ。多少 他より活きが良く、名前がついていないだけの魚(うお)。まずはその鱗から剥いでやる』
完全に復元した腕をゴキゴキと鳴らし、手に呪力を纏わせ、宿儺が構えた。
「じゃあ、なんでまだその面(ツラ)のままなんだよ。僕に手加減してほしかったんだろ?」
衿に巻いていた布や羽織を脱ぎ捨て、指の関節を鳴らす。
「残念だったな。僕は星也と十年以上の付き合いだ。記憶読めんなら、僕が何十回その身体ぶっ飛ばしたか知ってんだろ」
星也は五条が本気で鍛えた初めての術師だ。
術師を育てるというやり方がよく分からず、力任せに殴り飛ばしたり蹴飛ばしたり、術式をぶっ放したり……もちろん最低限 死なない加減はしたが、あの頃は自分も若かった。
「つまり……星也なら本気で殴れるし、中身がオマエなら加減もいらない」
五条も拳に呪力を溜め、腰を低くして構えた。
「悠仁で一回 死んだのはマズったな」
少年院での一件――宿儺は虎杖の心臓を抉って殺し、その後 生き返らせた。受肉のための下準備で契約を交わしたのはそのときだろ。
まぁ、契約については今さらつついたって仕方がないけど……。