第25章 紐解くスコア【 】
「忌庫、京都じゃなかったのか?」
後ろをついて来る札埜に、伏黒の隣で詞織が「ん」と小さく頷く。
「元は京都にあったらしい。でも、呪霊との戦いで本家の血筋が絶えて、当時 分家に生まれてた【陰陽術式】を持つ術師を当主にして、拠点も移したと聞いてる。忌庫もそのとき一緒に……もう何百年も前の話だけど」
詞織の話を聞きながら、伏黒は深くため息を吐いて振り返った。
「つーか、なんでアンタまでついて来んだよ」
「オマエらだけで文献 読み解けんのか? それなりに詳しい人間がいた方がいいだろ」
「何でアンタが詳しいんだよ。神ノ原一門の文献だぞ」
忌庫はその家の者の所有であり、基本的にはその家の当主が管理する。他家の者が許可なく踏み入ることはないし、踏み入らせることもほとんどない。
それこそ、星也が真希に忌庫の鍵を預けて中へ入らせることなど、本来はあり得ない。両者の間に強い信頼関係があってこそだ。
「ここまできて まだ分かんねぇのかよ。普通、他家の情報をここまで握ってるなんてあるわけねぇだろ。俺と晴明は血縁――はとこ同士だ」
「は?」
思わず変な声が出た。だが、そう言われれば腑に落ちる点も多い。
「そうなんだ……気づかなかった」
「晴明とは乳兄弟だ。この身体は受肉体だから関係ねぇが、当時の血筋ならオマエより俺の方が近い」
微かに目を丸くする詞織に、札埜はガシガシと頭を掻いた。