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夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第24章 グラーヴェに堕ちゆく【浴】


「家入さん、そこには何が……?」

「詳しくは分からないが……神道系の祝詞だな。書いてある内容から察するに、自分の魂を保護するものだろう。それと……」

 家入が包帯をズラし、肌に直接 書かれた文字を確認する。

「この祝詞を補強するための文字だ」

 七海は言葉を失くした。そこには、肌の色が見えないほど、【頑強】や【保全】、【修復】をはじめとした文字が隙間なく書き込まれている。

「全くお前は……これのどこが凡庸なんだ」

 浅く呼吸する星良に小さく呟き、家入は彼女の衿を整え、「七海」と視線を向ける。

「外傷はない。損傷しているのは星良の魂の方だ。【反転術式】の対象外――できることはやるが……」

「……あとは星良次第、ですか……」

 七海は星良へ視線を戻した。傍らでは灰原や猪野も心配そうに星良を見ている。

「そんな顔するな。こいつは あたしの弟子だぞ。自分の命を粗末にするような戦いはしない。だからこそ、あれだけ自分に術式を掛けた。そうだろ?」

 肌にびっしりと書かれた文字を思い出し、七海は「はい」と頷いた。

「あとは呼びかけてやれ。ちゃんと“ここ”に戻って来られるようにな。お前の声が一番 届くだろ」

 励ますように家入に肩を叩かれ、ようやくわずかに緊張が解ける。


 ――今、自分にできることをやろう。


 それがどれだけ些細なことでも、彼女を支えることができるなら。

 七海は星良の傍らに立つ。苦痛に喘ぐ彼女の前髪に触れると、その唇が微かに動いた。

「……星也……」

 耳に届くか届かないかというほど掠れた呟き。
 その言葉の重さを感じながら、七海は星良の手を握った。
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