第23章 最悪のブレイク【浴/自浄自縛】
『どうでもいいでしょ、そんなこと』
そう言うが、ギュッと握り締められた拳は言葉とは違う感情を物語っていた。
そこへ、再び宿儺が『詩音』と呼ぶ。
『三度は言わんぞ。俺と来い』
低い声音で命じられ、詩音はビクッと一瞬 怯えた表情を見せた。そして、悔しそうに唇を震わせ、『悪趣味なヤツ!』と悪態を吐く。
詩音の反応に思わず「ククッ」と笑ってしまうと、裏梅が苛立ったように詩音を睨んだ。
「詩音、言葉を慎め。不敬だぞ」
『どうして 詞織からあたしを奪ったヤツに敬意を払わなきゃならないのよ! そんな義理ないでしょ!』
バチバチッと両者の間に火花が爆ぜる。それぞれ唯一至上と掲げる者がいるのだ。一生 相容れないだろう。
そこへ、『良い』と宿儺が手を上げて二人を止めた。
『詩音は少々 生意気なくらいが面白い。少し大目に見てやれ』
そう言われ、裏梅が「はっ」と礼をして下がる。
その様子に、『あたしは ちっとも面白くないわ』と詩音は不愉快そうな表情をした。こういう反応が面白がられているのだろう。
「……じゃあ、送ってあげるから点ちょーだい」
宿儺へ手を出すと、『好きにしろ』と彼は背を向けた。
* * *