夢幻泡影②【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】アンケート開催中
第21章 声にならないラメントーソ【熟む〜呪胎戴天-伍-】
「師匠!」
知らせを受け、東堂 葵は包帯を何重にも巻いた右手で診療室のドアを開ける。
「東堂……」
垂水がこちらを見て小さく呟いた。
中では家入が東堂の師――九十九 由基に【反転術式】を掛けている。
垂水を始め、その様子を真依や綺羅羅が見守っていた。奥のベッドでは、見知らぬ男が黒いキューブを握りしめ、身体を震わせている。
「師匠の容体は?」
「正直、かなり危険な状態だ。生きてることが奇跡だよ」
【反転術式】を掛け、九十九から目を逸らすことなく家入が答えた。
「だが、星也が繋いだ命だ。手は尽くす」
「神ノ原 星也が?」
思いもよらない名前に軽く目を見張ると、真依が九十九の右手を示す。そこには、見覚えのある紋章が淡く光っていた。
「これは……神ノ原一門の家紋……!」
「星良さんに確認したんだけど、たぶん致命傷を回避する術式を仕込んでたんじゃないかって。さすがにそれ以上 詳しいことは分からないみたいだけど」
そうか、と東堂は真依に短く返す。
ギュッと握った拳の包帯に血が滲むのが自分でも分かった。
「……何があったんだ?」
唸るように東堂が尋ねる。正直、他にも色々と聞きたいことはあったが、まずは状況を確認したかった。