第15章 わずかに見えてきたスペランド
風呂を終えた詞織は、再び虎杖や星也たちがいる男子部屋を訪れていた。
伏黒が眠るベッドの枕元に膝をつき、何をすることもなく見守る。
「詞織、部屋に戻らないんですか? 星也に休むよう言われてますよね」
「……まだ、いい……ここにいる」
どうして、一緒にいなかったんだろう。
伏黒がこんな状態になる前に、何かできることがあったのではないか。
分かっている。
あのマンションでの戦いは、手分けをするのが最善だった。
それでも……そう考えずにはいられない。
―― 一番 必要なときに、傍にいてあげられなかった……。
「……メグ……起きて……」
伝えたいことがたくさんある。
津美紀が目を覚ましていること。
“天使”が協力してくれること。
総則追加のための得点が集まっていること。
――ううん。伝えたいことなんてなくてもいい。
ただ傍にいて、他愛のない言葉を交わして温もりを感じられれば……。
そんなことを考えていると、華が隣に腰を下ろした。
「あなたにとって彼は、大切な人なんですね。私にとっての星也のように」
「……華は……兄さまのことが好きなの?」
恋愛事に疎くとも、華の星也への好意は さすがに見ていれば分かる。
「えぇ」
「どうして? 会ったばかりでしょ?」
詞織の言葉に彼女は膝を抱え、何かを思い出すような切ない表情でこちらを見てきた。