第6章 悪魔
溢れた光が闇を造り、
闇はゆらぎ、固まり出しました。
そして、そこからひとり、
またひとりと影が立ち上がり始めたのです。
「おいおい・・・嘘だろ!?」
ゆらゆらとした影は、次々と人の形を取り始めます。
あるものはピエロのような格好を、
あるものは美しい衣装を纏う女性のように、
あるものは長い髭を蓄えた老人のような姿を・・・。
老若男女、様々な格好をした人が、部屋の中に溢れ、窓から外にまで踊りだしました。
やっぱり悪魔なのでしょう。不思議なことに、空中でくるくると回転したり、ステップを踏んだり、楽器を演奏したり、歌ったり・・・
瞬く間に、辺り一面賑やかなパーティのようになったのです。
その中央で、気障な奇術師のような悪魔は、
まるで奇跡を見ているかのように、あんぐりと口を開いていたのです。
「まあ、まあ!悪魔さん・・・。
これがあなたのお父様やお母様お友達、なんですの?」
少女が嬉しそうにはしゃぎました。
青く光る青年のような悪魔が、少女の手を取って踊り始めます。
その後ろで、大玉にのったピエロの悪魔が楽しげにバイオリンを弾き鳴らしました。
「なんだよ・・・」
その光景を見て、最後の悪魔は、
ポツリと呟きました。
「夢ぇ忘れてたのは、
俺も同じだったんかよ・・・」
少女はコックの姿をした悪魔が差し出したケーキをひとつ、口に入れていました。
そのまま少女は、妖精の羽の生えた数人の悪魔に手を引かれ、窓から外に飛び出していきます。
月明かりの注ぐ中、大勢の悪魔たちが飛び回り、踊っていました。
悪魔は空を仰ぎました。
その揺らぐ瞳に映るのは、月影と、
もう還らない思っていた同胞たち、
そして、夢を忘れなかった優しい少女が、
くっきりと映っていたのでした。