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幻想遊園地

第6章 悪魔


「できま・・・せんか?」
なおも少女は言います。

悪魔は一度目をぎゅっとつむり、唇を噛みました。

きっと、こいつは断っても別の願いをひねり出すに違いねえ・・・
それに、そもそも、んなこと、できるわけねえ。

たとえ往時のような魔力があったとしても、
一度この世から消え去った悪魔を呼び戻すなど、
できるはずなどないのです。

まあ、できなきゃ、できないで・・・な。

悪魔にしたら、
ここで少女の魂を逃せば、多分、
次の獲物を見つけることができずに自分は消滅する、
それが分かっていました。

少女が『失望』すればおそらく、
悪魔に残された時間もまたそこで潰えるのです。

悪魔は、少女の方に目を向けました。
少女はまるで疑う様子もありません。
その目は先程の月をまだ映したかのようにキラキラと輝いていました。

その瞳を見て、悪魔は思ったのです。

でも、まあ・・・いいか・・・最後こんな思いができたんだしな・・・

そして、覚悟を決めたように目を細めて笑いました。

「ああ・・・わかった、そうしよう。
 最後の願いだぜ?
 しっかり、目に焼き付けろよ!」

悪魔はもう一度、眼鏡を外しました。
そして、大仰に手を振り上げ一礼すると、胸に手を当てます。
まるでその姿は、舞台に立つ気障な奇術師のようでした。

「はい」
少女もまた、にこりと笑いました。

「Ladies and gentlemen!
 今宵、最後の大マジック・・・
 太古の昔から地上にはびこる悪の使徒!
 大悪魔、中悪魔、小悪魔たち・・・
 さあさ、この地に、呼び戻してご覧に入れましょう!!
 うまくいったら、拍手ご喝采を!」

高らかに口上を述べ、手を振り上げ、パチンとひとつ指を鳴らしました。

「まあっ!」

するとどうでしょう。
その指先から七色の光が幾筋も伸び、部屋を明るく照らし始めました。

「夢を見なくなった人間たちに見放された哀れな種族、
 悪魔たちよ!」

悪魔は確かに呼びかけました。
はるか昔に消えた同胞たちに。
しかし、返答などあろうはずもありません。
光は確かに溢れましたが、それだけでした。

ま・・・こんなもんか
これが・・・限界ってもんだろ?

「嬢ちゃん・・・これ以上は」
口を開き始めた時、少女が『まあ!』と先程よりも大きな声を上げたのです。
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