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幻想遊園地

第6章 悪魔


ああ・・・月ってのは、こんなにもデカかったか・・・。
悪魔の漆黒の瞳に、月がゆらりとその影を落としていました。

「さあ・・・これでいい
 ・・・ん?」

願いは叶ったのかと少女に尋ねようとして、悪魔が視線を横に目を向けると、自分の顔を見上げている彼女の瞳に目が止まりました。
その少女の瞳は、どういうわけか美しい夜の色をしていたのです。

「な・・・何だよ」

あまりにまっすぐ見つめられたので、その瞳には悪魔の顔が映り込んでいました。
そして驚いたことに、そこに映る姿は、最初に少女が見たような老いてくたびれた姿ではありませんでした。

20代後半ほどの怜悧な程に白い肌を持った紳士として、映っていたのです。

随分・・・まあ、見くびられたもんだ・・・。
こんな姿になったからにゃ、それに相応しい振る舞いをっ・・・ということかい?

紳士の姿となった悪魔がそっと少女の顎に手をやります。

「お前の目には、俺はこんな姿で写ってるのか・・・」
「あら、姿を変えるのも悪魔のサービスのうちかと」

別に悪魔の魔術のせいではなかったのです。もともと、悪魔というのは固定した姿を持っていません。見る人の心がその姿に映し出されるのです。

「こんな優しげな姿になったのなんざ
 ・・・生まれて初めてだ」
「あら?そうですの?」

ふふふ・・・。少女は笑いました。

「願いは叶いましたわ」
「一緒に月を見るっていうのが?そんなんでいいのか?」
「いいえ、私の願いはね・・・こうして人の瞳に映る月を見てみたい
 ・・・ずっとそう思っていたんですよ?
 だってそれって、とてもロマンチックじゃないですか」

悪魔さんの目の中に、確かにお月様は見えましたよ。

少女はそう言って、いたずらっぽく笑ったのです。
それは本当に、満足げな微笑みでした。
そして、もう一度、空に目を向けました。

「ねえ、私の目にも映っているかしら?あの月が・・・」
悪魔は空を見上げ、少女を見つめ、そしてまた空を見上げました。
ふたり並んで、空を見上げたまま、照れ隠しみたいに言ったのです。

「ああ・・・映ってるぜ」
「それだけ?」
「んんっ!・・・ま、綺麗だな」
「ふふ、ありがと」
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