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幻想遊園地

第6章 悪魔


「いつ頃からかな・・・人が世界に溢れて、技術が進歩して、人一人の手に世界が余るようになって・・・人口増加が停滞して、AIなんかができちまって・・・科学だなんだと、世界がピカピカと明るくなっちまった辺りからか?
 夢・・・見なくなっちまったんだよな」
「夢を・・・ですか?」
「そもそも人が夢見なきゃ『契約』は成り立たねえ。
 『契約』がなけりゃ俺たちゃ飯が食えねえ・・・
 そうなったら、悪魔がたどる道はひとつだったよ」

悪魔はガリガリと頭をかきむしり、苛立たしげに外を見つめました。

「見ろよ・・・世界は枯渇した。
 降り止まねえ酸性の雨、森も、海も川も死んだ。
 人間だけが昔のテクノロジーにしがみついてかろうじて生きていやがる。
 それも、ただ『生きてる』だけだ。
 自分の魂と引き換えにしても国を手に入れようなんつー野心家も、
 命を賭してまで愛を貫こうっていう薄幸の美女も、
 今となっちゃ、はるか昔のおとぎ話だ」

悪魔はまた小さく息をつきました。

「夢を叶えずに魂を貰おうってほど、
 俺らは邪(よこしま)じゃなかったってこったな・・・。
 それで気がつきゃ俺が最後のひとり・・・
 『最後の悪魔』ってわけだ」

悪魔はくるりとおどけて回ってみせました。
道理で、顔も手もシワだらけ、頭は白髪に覆われているわけです。
・・・なにせ悪魔はもうかれこれ1000年以上は『食事』をしていないのですから。

そんな悪魔を見て、少女はそっと立ち上がりました。真っ白なネグリジェに黒く長い髪の毛がとても美しい様子でかかっていました。少女は夢のような足取りで悪魔のそばまで来ると、同じように外を眺めたのです。

暗い雨は先程よりも激しく、バチバチと音を立ててバルコニーを叩いていました。

しばらく見ていた少女が、ふと、悪魔の方に向き直りました。

「ところで、夢は・・・いくつ叶えてくださるの?」

悪魔は一歩、退いて、少女の背中を見つめています。
その目が値踏みするかのように、すうっと細くなりました。

「3つ・・・だ」
「そ・・・じゃあ、1つ目のお願いいいかしら?」
悪魔からはその表情は見えませんでしたが、口調から少女が微笑んでいることが分かりました。

「ん・・・ああ、いいぜ?」
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