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白と黒のハーモニー 第二局 【ヒカルの碁・緒方精次】

第1章 ◯ 十段戦とネクタイピン ●


 翌日、緒方のもとに突然の知らせが飛び込む。師匠であり十段戦の対局相手、塔矢行洋が倒れたという。塔矢先生が…!と、頭が真っ白になり、胸が締めつけられる。行洋は意識不明の状態が続き、囲碁界に緊張が走った。
 十段戦第3局は緒方の不戦勝となるが、その日に行洋は目を覚ました。病院に駆けつけると師匠は思っていたよりも元気そうで緒方は安堵する。
 入院中でも碁が打てたら…と師匠の希望もあり、緒方はパソコンを病室に運び、ネット碁の設定を済ませる。囲碁界に新しい波は来るが、塔矢先生にはまだまだ元気でいてもらわないとな…。先生はオレ自身が倒す…と内心で決意をした。

 病院から自宅へ戻ると、先生のことでドタバタしていて、星歌の顔をしばらく見てないな…と、ふと寂しさが胸をよぎる。スマホを取りだしてメッセージを送ろうとするが、用もないのに送るなんて、なんか恥ずかしいぞ…と、手がピタッと止まる。気の利いた話題でもあればいいんだが…。「花見、楽しかったな」は、どうだ?…いや、ちょっと間が開きすぎか?頭をひねる。
 ソファに座りなおしてコーヒーを1口。…なんでオレ、こんなことで悩んでいるんだ…。メッセージ1つだろ、中高生かよ…と、自嘲の笑みが漏れる。ネクタイピンでウジウジしたばっかりなのに、今度はこれか…と、数日前の葛藤を思いだして苦笑い。
 ゆっくりと深呼吸をして、気持ちを落ち着かせる。カッコつける必要なんてないだろ…。自分の正直な想いを送ればいいんだ。
「塔矢先生が入院してドタバタしていたが、だいぶ落ち着いた。星歌はどうだ?年度初めで慌ただしいか?」
 何度か読み返してから送信ボタンを押す。鼓動は早まるが、心はあたたまっていくような気がした。
 しばらくして、星歌からの返信が届く。仲良しの子が一緒のクラスだったから楽しいとのことで、緒方はホッとする。スマホなんてただの連絡手段でしかないと思っていたが、こんなやり取りで幸せな気持ちになるんだな…。緒方はスマホを手に、目を細めていた。
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