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その極上ミルクは誰のもの?

第5章 『極上ミルク』の正体


闇のマーケット、その最奥。
換気の悪い地下倉庫の空気は、安っぽい煙草の煙と、それには不釣り合いな甘く濃密な香気に満ちていた。


「……おい。例の『ブツ』は、間違いなく入ってるんだろうな」

薄暗い電灯の下、顔を深く隠したブローカーの男が、目の前のヴィランに声を潜めて尋ねた。
対面する男は、下卑た笑みを浮かべながら、重厚なアタッシュケースをテーブルに乗せた。 
カチリ、とロックが外される。
中には、冷却材に守られた数本のボトルが、美しく、それでいて不気味なほどの純白を湛えて並んでいた。


「ああ、もちろんだ。今朝搾りたての、最高鮮度だぜ。……見てな、この照りと濃度。そこらの中途半端な回復薬とはワケが違う」

男の一人が、ボトルのキャップをわずかに回した。
瞬間、部屋中に暴力的なまでに甘い香りが広がる。
それは本能を直接揺さぶり、理性を麻痺させるような、禁断の香気だった。


「……っ、これだ。一度これを口にすると、他の薬じゃ満足できねぇ。傷が治るだけじゃない、全身の個性が爆発するようなあの感覚……」

「だろう? 捕らえた『雌牛』が、毎日男たちの種子と快楽を注ぎ込まれて、涙を流しながら精製した結晶だ。……『極上ミルク』。これ一杯で、お前のそのくたびれた個性も、全盛期以上に跳ね上がるぜ」

ブローカーの男は、震える手でボトルのひとつを手に取り、一気に喉へ流し込んだ。


「――ん、ぐ……っ、はぁぁぁぁ……ッ!!」

瞬間、男の血管が浮き上がり、眼球が充血する。
身体の底から湧き上がる異様な生命力。
快楽を味わい尽くした少女のミルクが、別の男の暴力的な力へと書き換えられていく。


「……たまらねぇ。この味、この昂ぶり。……いくらでも出す。もっと用意しろ。あの女がいる限り、いくらでもな」

「ははっ、安心しろ。あの『雌牛』は今、三つの穴を同時に開発されて最高に仕上がってる。……明日も、明後日も、最高の雫を搾り出してやるよ」


闇の底で交わされる、金と白濁の取引。
がどれほど泣き叫び、どれほど尊厳を削られているかなど、この男たちには「最高のスパイス」に過ぎない。


彼女の『極上ミルク』は、裏社会の怪物たちを狂わせ、さらなる地獄の連鎖を広げていくのだった。


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