第3章 囚われの少女
「じゃあね、ちゃん! また明日学校で!」
夕暮れ時のカフェの前。
新しくできた友達の笑顔に、は心の底から安堵していた。
ようやく手に入れた「普通の女子高生」としての日常。
あの日、爆豪にすべてを壊された過去さえ、この街なら忘れられる気がしていた。
「うん、また明日ね」
小さく手を振り、一人で帰路につく。
街灯がまばらになり、人通りが途絶えた角を曲がった、その時だった。
背後で止まった黒塗りのバンのスライドドアが音もなく開き、強靭な腕がの細い腰を抱え込み、逃げる術もなく車内へと引きずり込んだ。
「ん、ぐ……っ!?… 放して、だれ、か……っ」
必死に抵抗する鼻腔を、薬品のツンとした臭いが襲う。
「暴れるなよ。すぐにいい気持ちになれるからよぉ……」
男の下卑た声が鼓膜を震わせ、視界が急速に暗転していく。
友達と交わした「また明日」という約束が、遠く、遠くへ消えていった。
次に意識が浮上したとき、を包んでいたのは、冷たく湿ったコンクリートの感触だった。
「……あ……、……っ」
重い瞼を持ち上げ、自分の状況を理解した瞬間、血の気が引いた。
両腕を頭上で鎖に繋がれ、つま先が辛うじて床に触れるだけの高さで吊るされている。
自由の利かない身体。
自分を囲む男たちの、飢えた獣のような視線。
「やっとお目覚めか、『極上ミルク』のお姫様」
暗がりの奥から歩み寄ってきた男が、の顎を乱暴にしゃくり上げた。
「……っ!…、なん、のこと……?」
「とぼけんなよ。お前のその服の下……隠しきれないほど甘い匂いが漂ってんだよ。俺の鼻は誤魔化せねぇ」
男の指が、の新しい制服の胸元を不気味に撫で回す。
「……っ、やめて、触らないで……っ!」
「ははっ、いい反応だ。こんなエロい個性(カラダ)隠してたなんてよぉ。お前、自分がどれだけ価値のある『家畜』か、わかってねぇだろ?」
「ち、が……私は、そんな……っ」
「そんなことあるんだよ。お前のその胸から出る一滴一滴が、闇市でどれだけの値がつくか……。今日からたっぷり、身をもって教えてやる」