第1章 炎柱は音柱を許さない 【鬼滅の刃 煉獄杏寿郎】
煉獄家へと続く見慣れた道。
朝日を背負い、ぐったりと愛おしそうに腕の中で眠るを抱えた煉獄が、門をくぐった。
「兄上! お帰りなさい……っ!」
玄関先で待ちわびていた千寿郎が、弾かれたように駆け寄るが、その足がぴたりと止まった。
「……あ、あの、兄上? さん、その……大丈夫、なのですか?」
千寿郎の視線が、煉獄に大切そうに抱き抱えられ、彼の羽織に包まれたへと注がれる。
彼女の首筋には、羽織の隙間から、まるで炎のような赤い痕がいくつも覗いていた。
「うむ! 無事連れ戻したぞ、千寿郎! 安心しろ、怪我はない!」
「……そうですか、良かったです。でも、なんだか……お二人の空気が、いつもと違うような……」
千寿郎は首を傾げた。
いつもの「兄と使用人」という一線を画した礼儀正しい雰囲気ではなく、もっと濃密で、互いの魂を分かち合ったかのような、熱く甘い気配が二人を包んでいたからだ。
「千寿郎! 良い機会だ、伝えておく!」
煉獄はを抱き直すと、千寿郎の目を真っ直ぐに見据えて、朗々と宣言した。
「俺は、を妻として迎えることにした! これからは家族として、共に歩んでいく所存だ!」
「えっ……妻!? 兄上の、お嫁さんに……っ?」
千寿郎は驚きのあまり目を見開いたが、すぐに顔を輝かせ、深々と頭を下げた。
「おめでとうございます、兄上! さん! ずっと、ずっとそうなることを願っていました。……ああ、本当に、本当に嬉しいです!」
「うむ! 祝福感謝するぞ、千寿郎! 、聞いたか? 千寿郎も喜んでくれている!」
煉獄の腕の中で、ぐったりとしたは真っ赤な顔をして千寿郎に微笑むのだったーー。