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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】

第5章 半冷半燃の少年は彼女を温めたい 【ヒロアカ 轟焦凍】


秋の夕暮れは、血のような朱色を街に落としていた。
母親の見舞いを終えた轟は、冬の気配を含んだ風にマフラーを揺らしながら、静かな住宅街の路地を歩いていた。

ふと、鼻腔を突いたのは、秋の冷気には不釣り合いな生臭い匂いだった。
濃密で、吐き気を催すような雄の匂い。

「……何だ、これ」

ゴミ捨て場の奥、電柱の影。
そこにそれは棄てられていた。

そこに横たわっていたのは、制服であっただろう布切れを纏った少女だった。

しかし、それはもはや服としての機能を成していない。
上着は引き裂かれ、むき出しの肌には痛々しい無数の赤い痕が。

「……っ!」

轟が絶句したのは、彼女の太腿を伝い、地面に零れ落ちていた白濁した液体の汚れを見た時だ。
執拗に、そして手酷く「種」を注ぎ込まれたことが一目でわかる。
彼女の股の間からは男の傲慢な欲望が溢れ出し地面を汚していた。
彼女の瞳は白濁し、焦点はどこにも合っていない。
ガチガチと歯を鳴らし、何かに怯えるように指先を震わせている。

「いや……ごめん、なさい……直哉、さんっ、…」
「……酷えな、これ」

轟の瞳に、静かだが烈火のような怒りが宿る。
自分もまた「最高傑作」を作るための道具として扱われた過去がある。
だが、目の前の彼女が受けているのは、教育という名の虐待ですらない。
ただの蹂躙だ。
轟は膝をつき、迷うことなく自分の上着を脱いだ。

「おい、しっかりしろ。もう大丈夫だ」

そっと手を伸ばすと、彼女は弾かれたように身を捩った。
縛られたままの体で、男を拒むように必死で這いずろうとする。
その拍子に、また彼女の体から男の残滓が溢れた。

「……無理に触らねえ。何もしない。……俺は、轟焦凍だ」

轟は左側の個性を微かに発動させ、凍える彼女の体を包み込むような「熱」を放った。
暴力的な熱ではなく、凍えた指先を溶かすような、柔らかな陽だまりの暖かさ。

「……あったかい……?」

虚ろだった彼女の瞳に、わずかに色が戻る。
見知らぬ少年の、氷と炎が混じり合った不思議な色の瞳。
そこに映る自分は、ただの傷ついた少女として見つめられていた。

「お前を傷つけるやつはここにはいねえ」

轟は、縄が食い込んで内出血を起こしている彼女の手首を、氷の個性で優しく冷やしながら、上着をかけてあげたその体を横抱きに抱え上げ、病院へ折り返すのだった。
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